こだわりの空間づくりについて、プランナーにインタビューをしました。
ー「平井」という立地にはどんな印象がありますか?
プランナー
このお部屋以外にも複数担当したことがあるので、平井には何度も行っています。駅近辺には商店街があって、一歩中に入ると住宅地が広がる多く落ち着いたエリアですね。近くには旧中川が流れていて、お休みの日に河川敷を散歩したら気持ち良いだろうなと思いました。
ー初めて物件を見た時はどう感じましたか?
プランナー
外観はオレンジタイルで、典型的な「ライオンズマンション」って感じでした。ちなみに、一昔前はライオンズに住むということが、一種のステイタスになっていたんですよ。この物件は築30年弱なんですが、エントランスは掃除が行き届いていて、きれいでしたね。家族連れの方とすれ違ったり、駐輪場にはお子さんの自転車も多くあったので、ファミリー層が多いんだなという印象でした。
部屋の中に入って特徴的だったのは、キッチンの間取りです。当時はキッチンを独立させ、出入りをリビング側だけでなく、洗面所側にもつける「2wayキッチン」がトレンドで、調理と洗濯が同時にできる空間設計になっていました。
でも開放感はあまりないし、今のライフスタイルとの違いを感じましたね。そこはちゃんと修正して、ファミリー向けのプランを考えようと思いました。
1980~90年代は欧米のエッセンスを取り入れた褐色のレンガ風外壁が流行。
ーその他に、現場で確認したことは何ですか?
プランナー
実は、現場に行く前から気になっていたことが3つありました。
まずは騒音です。建物の3方向が道路に面していて、そのうちの1つが大通りだったので、どの程度、部屋の中まで音が響くのかなと。その点は2重サッシが入っていて、しっかりと防音できていました。
次に目線です。このお部屋は3階なんですが、念のため外の通行人と目線が合わないか確認したところ大丈夫でした。1階や2階の場合は、外から部屋の中が見えてしまうこともあり、窓に目隠し用のフィルムを貼ったりする場合があるので。
最後は床です。どの物件にも言えるのですが、きれいで状態が良ければ無理に撤去はせず、活用した方が良いと判断します。余計な産業廃棄物の発生や、撤去費用も抑えられますので。このお部屋の床は見たところ状態がとても良さそうだったので、そのまま残そうと考えました。
これで気になっていた問題は全て払拭、今回はスムーズにいきそうだなと、一安心して帰りましたね。
ーでは、プランニングについて教えてください
プランナー
1番重点を置いたのはLDKです。それまではリビングとキッチンが離れていたため、家事をする奥さまが孤立してしまう状態でした。さらに、それぞれが個室になっていたため閉塞感があったんです。その点を解決させるために、リビングとキッチンを一体化させて、広々と開放感のあるLDKにしようと考えました。
キッチンは対面カウンターを検討していたのですが、寸法の都合上厳しかったため壁付けでいくことに。ところが、ARISE標準仕様の3口コンロキッチンを設置するには、壁付けでも少し寸法が足りなかったんです。スペースに合わせるとコンロが2口になる。それだと3~4人家族にとっては不便だと感じ、どうしても3口のキッチンを採用したいと思いました。
悩んだ結果、ARISEではあまり採用したことがないL型タイプのキッチンを導入することにしたんです。
L型キッチンは、コーナーに大きなお皿や調理済みのお鍋などを置ける余裕があるのでとても便利。
ー確かに、ARISEでは珍しいですね
プランナー
L型は、今回のように小スペースでも設備が充実できることや、シンクとコンロの配置が近いレイアウトになるため、作業をする際に効率的な動線を確保できる利点があります。
これで、奥さまがご家族の様子を見ながら家事をすることができるようになりました。
それと、リビングにはもう一つ工夫した点があります。
それは、あえて凹んだスペースをつくったことです。何もない状態だとデコボコして不格好に見えるかもしれませんが、実はここ、食器棚などの収納を置くスペースを事前につくったんです。隣にある洋室のクローゼットを大きくすることも可能でしたが、この凹んだ部分に収納家具を置くことで、家具を入れた時のお部屋のシルエットがとてもきれいになり、LDKをフラットにすっきり使っていただけます。これで開放感を保ちながら広々と暮らしていただけるのではないでしょうか。
広々とスッキリ住んでいただくために、あえてつくった凹みのスペース。
また、ちょっとしたことなんですけど、玄関にも、あえて小さな何もないスペースを設けています。ARISEのシューズボックスは収納量が豊富で使い勝手も良いのですが、傘を入れる前提にはなっていないので、傘立てなどを置くスペースとして活用していただければと考えました。
実際に暮らした時に、どこにどんな家具を置くのかなども想像しながらプランニングするのは、とても大事なんですよね。
ー工事は順調でしたか?
プランナー
私たちは工事を始める前に近隣の方へご挨拶に伺うのですが、その際に下の階にお住まいの方から「以前の持ち主が床の工事を行なってから騒音がひどくなった。床材を確認して欲しい」との相談をいただきました。まさかと思いながらも、私と施工担当、職人さん全員で確認したところ、案の定、遮音がとれていない床材を使っていたことが判明しました。
ARISEでは、下にお住まいの方にご迷惑をおかけしないため、また、ご購入者様が足音を気にせず快適に過ごせるように、床には遮音材を使用することを原則としています。
なので、急遽全て取り替えることになったんです。
ーすごいアクシデントでしたね
プランナー
この段階で発覚したのは、本当に良かったと思います。そのまま床材を使っていたら、ご購入者様が入居してから騒音トラブルになる可能性がありましたから。
これもひとえに、工事前に直接挨拶に伺ってお話を聞けたからこそです。改めて挨拶の大切さが痛感しました。
今回は、急遽床材を変更にすることになったので、工期の方にも影響が出るところでしたが、施工担当が臨機応変に対応してくれたおかげで、予定通りに完了できたことも良かったです。
ー将来起こり得るトラブルを未然に防ぐことができたんですね
プランナー
実は工事の際に起こったアクシデントが、もう1つありました。
天井裏に通っているレンジフードからの排気ダクトについてです。図面上ではレンジフードの位置と排気口は直線で結べましたから、ダクトはストレートにつながっていると想定していたんです。ところが、現場から「ダクトが迂回している!」との連絡が。その時は「ウソだろうっ! なんでっ?! 」と、思わず心の声が出てしまいました(笑)
天井を解体したところ、マンションの構造上どうしても避けられない梁があり、そのためにダクトが梁を迂回したルート構造になっていたことが判明したんです。
その後、施工担当から最短ルートの提案がありました。私もそのルートが一番良いとは思ったのですが、そのためには、新たに梁を設置しなくてはならないことに。天井にはすでに別の梁もあり、圧迫感を感じてしまうのではという不安もありましたが、ダウンライトを設置するなどして、少しでも緩和できるように工夫しました。
照明の灯りが梁の圧迫感をやわらげ、高さの違う梁がデザイン性もアップしてくれました
ー完成した物件を見てのご感想は?
プランナー
良く仕上がっていると思います(笑)
ダクトのための梁も違和感はなく、むしろ照明が程よいポイントになっていましたし、重点を置いていたLDKも広く開放感があり、今のライフスタイルに合っていると。
間取りはその時代のライフスタイルにあわせて変化していくものだと思っています。これからもその時のトレンドを追求して、より快適な住まいを提供していきます。