こだわりの空間づくりについて、プランナーの八重樫にインタビューをしました。
ー横浜の物件ですね。どんな立地でしたか?
八重樫
近くに“太尾見晴らしの丘公園”という大きな公園があったり、目の前を鶴見川が流れていたりと自然を身近に感じられるエリアでした。近くに小学校もあるので、のびのびと子育てしたい方にぴったりの住環境だと思います。
最寄駅は人気の高い東急東横線の“綱島”駅、徒歩20分弱くらいでしょうか。綱島というと急行が止まりますし、横浜駅まで10分、渋谷駅へも20数分で行ける好アクセス。さらに、もうすぐ新駅も開業するので、これからますます便利になりますね。駅前には7つも商店街があって、大手スーパーから昔ながらの個人店まで充実していましたよ。日々の買い物には困らないと思います。
ー間取りはどうでしたか?
八重樫
4人くらいのご家族が住むには暮らしやすい間取りでしたので、大幅に変更する必要はないと感じました。でも動線を確認したり、家具位置を想定してみると改善ポイントが見えてきたんです。
ーどういったところですか?
八重樫
一番気になったのはスペースに余裕がないキッチンです。幅がないのに、システムキッチンの並びに冷蔵庫を設置して、その向かい側に食器棚を置くように考えられていたようで、冷蔵庫の扉を開けると食器棚へ触れるんじゃないかと思うくらいの狭さでした。※❶ その他にも、出入りの動線が必要なので、ダイニングテーブルを置く場合はリビングの中のほうになるなど、空間を効率的に使えない間取りだと感じたんです。※❷
食器棚などを置くとかなり窮屈になってしまうキッチン。また、出入りをするためのスペースが必要なので、無駄なスペースが多くなる間取りだったと話すプランナー。
ー使いにくそうでしたね。解消するにはどのようなプランニングを?
八重樫
2つの問題を解決する方法として、システムキッチンを対面式にする方法があるのですが、お部屋に幅がないため難しい。そこで思いついたのは、L型のシステムキッチンです。L型にすることで、まず、ダイニングテーブルをシンクの前に付けて設置出来ます。もう一つの問題だった冷蔵庫や食器棚を置く場所も、システムキッチンの設置位置を少しリビング寄りにして、奥にスペースを確保しました。これで冷蔵庫と食器棚を並べられるので扉の干渉が避けられます。あまり使わないL型のシステムキッチンですが、このお部屋のために採用することに決めました。
両方の問題が解消。リビングは、ダイニングテーブルを置いてもフリースペースがしっかりと取れるようになった。
ーこれでリビングも広く使えますね!
八重樫
ARISEは快適なリビングをつくる事にとても力を入れています。今回もいくつも工夫をしたんですよ。その1つが照明です。このお部屋には両側に梁があるため、ダウンライトの設置の間隔が広くとれなかったんです。照明は間隔が狭いと空間が綺麗に見えないんですよね。そこで、別の方法を検討していった結果、梁を利用する事にしました。キッチンの排気をするためのダクト梁なんですが、その下に設置しようと。原因だった梁をうまく活用して、良い演出が出来たと思っています。
梁を有効活用したスポットライトの演出。
ーリビング以外に工夫した点も教えてください 。
八重樫
いつもは“収納をしっかりと作る”ことを意識してプランニングするのですが、その収納をあえて設けず部屋として機能させたことでしょうか。
実はこの物件、表記では「3LDK」でしたが、玄関を入ってすぐのお部屋が小さくて、以前に住まわれていた方も納戸として使っていたくらいで。「2LDK+納戸」と言っても過言ではない感じだったんです。
今回のプランニングは、お子さんが2人いるご家族が住むことを想定していました。だから、この「納戸のような部屋」をしっかりと子供部屋として機能させてあげたかった。
構造上、壁を移動して広くすることはできなかったので、限られたスペースをどうやったら有効活用できるか?と考えて、ここはあえて収納を設けない判断をしました。でも収納が全くないのは不便だとも思いましたので可動式のハンガーラックを用意したんです。少しでも片付けられるかなというのと、可動式なので学習机などの配置に応じて移動が出来ます。それに、もしも必要がなければ別のお部屋で使えるので便利ですよね。 その他にも、扉を開戸ではなく引き戸にしました。引き戸は扉の開閉スペースを確保しなくても良いので。
3.5帖のスペースに収納があったお部屋。あえて収納を設けない事で最大限に使えるようにプランニング。
ー住まわれる方の事を想っての判断でしたね。
八重樫
3LDKの物件が多いエリアでしたので、お子さんが2〜3人いらっしゃるご家族がたくさんお住まいなのかなと。だったら今回はクローゼットなどの収納を作って狭くなるよりも、子供部屋としてきちんと機能させてあげたほうがニーズに合っていると感じたんです。
住む方の家族構成を想定して、その方の生活をイメージしながらプランニングに落とし込む。仕事をする上で何よりも大切にしている事です。