こだわりの空間づくりについて、プランナーにインタビューをしました。
―現地へ行った際のエリアの印象を教えてください。
プランナー
物件は、板橋区の駅で言うと赤塚が最寄りなのですが、駅から少々歩いた先の、とても静かな場所にありました。現地へ向かうまでに、多くの子供が遊んでいたのを見かけ、子育てに向いている環境なんだなと感じましたね。お部屋の広さだけを見ればDINKS向けの間取りも考えられたんですが、現地の周辺環境を考慮し、今回はご夫婦とお子様の3人で住むことを想定したプランニングに決めました。
―3人家族を想定したとのことで、どのようなプランに?
プランナー
3DKの間取りだったものを、家族とのコミュニケーションが取れるように対面キッチンのある2LDKにしました。最近は「リビング学習」が増えていますから、対面キッチンならお母さんが料理しながらでも子供の様子が見られて良いですよね。
また、以前は収納が極端に少なかったので、全体的に収納力を強化しました。
私たちプランナーは、収納は用途に合わせてつくることが大切だと考えています。必要な場所に必要な量の収納スペースを確保することで、永く快適に暮らせるのです。
キッチンは家族の対話が生まれる対面式に。新しい間取りでは収納量が倍以上になりました。
リビングに設置した収納ですが、間取り図を見るとレイアウトが凸凹しているように感じるかもしれませんが、これは日々の家事動線を考えて幅や奥行きなどを細かく調整した結果なんです。ややコンパクトなスペースですが、収納は大きければ大きいほど良いというものではなく、住んでからの暮らしをいかに快適にするか、そこを想像してプランニングすることがすごく重要なんですよ。
玄関回りの収納についても、家族3人を想定した時に下足入れだけでは弱いなと思ったので、プラスαとして傘やベビーカーなどを収納できるような扉付きの可動棚を設置しました。これで、煩雑になりがちな玄関周りも、すっきりと過ごせますね。
3人家族を想定した収納プラン。場所や用途に合わせた収納をつくることが必須条件です。
―その他で注力した点はありますか?
プランナー
「デッドスペースを見逃すな!」ですかね(笑)常に有効活用できるスペースはないか追求しています。使い方次第では、お部屋を素敵にする機能的な収納へと変化させられるんですよ。
―具体的には?
プランナー
この物件でいうと、リビングにあるエアコンの配管スペースです。配管を見えないように壁を設けて隠すのですが、配管自体の位置は腰くらいまでしかなかったので、壁は天井までつくらずにカウンターにして、物を置けるようにしたんです。そのことで、圧迫感も緩和されて一石二鳥!自分でもなかなかの出来栄えだと思いました(笑)
それと、冷蔵庫置き場にも工夫を。動線を考えると、キッチンの排水パイプスペースの横に冷蔵庫を置くことが想定されたのですが、そうすると、冷蔵庫とキッチン横の壁との間に微妙なスペースが生まれるんです。今回はそのデッドスペースを活かし、冷蔵庫とパイプスペースの間に壁をつくってオープンな可動棚を設置しました。食器などはもちろん、調味料のストックなどが置けるパントリー収納にもなり、キッチンスペースの使い勝手がグンと上がりましたね。
お客様が住まわれてから使い方に悩んでしまうような微妙なスペースは、最初から収納をつくってあげることで、空間を有効活用してもらえるようにしています。
「デットスペースをどう活かすか、どう見せるか」を追及してできた可動棚。
―今回のプランニングで心掛けた点はどこですか?
プランナー
「サステイナブルにつくる!」ですかね(笑)私たちは環境に配慮し、残せるものはそのまま使用するのですが、今回も一部の壁を残すプランでした。ただその場合、残した壁の厚みなどが所々違ったりして、計測に少しの誤差が生じてしまうことがあるんですよ。そして、それが命取りになる時もあるんです(笑)
例えば、今回はキッチンだったのですが、当初の計測から2~3㎝の誤差が生まれており、食洗機付きの3口コンロタイプのキッチンを設置しようとすると、想定していたキッチン横の通路幅850㎜が確保できないという連絡が来たんです。
だからと言ってランクを落とした小さめのキッチンを導入しては、快適性も一緒に落ちてしまいますから、どうしようかと……。
―どのように対応したんですか?
プランナー
「何がなんでも収めたい!2~3㎝をなんとか!」と熱い想いを現場へ伝えながら打ち合わせました(笑)現場から「キッチンの無目枠で調整すれば収まるんじゃないか」と提案してもらい「じゃあそうしましょう!」と。
その他にも、壁の巾木だとか細かいところも少しずつ調整していって、何とか無事に収めてもらいました(笑)
キッチンの無目枠や壁の巾木で調整し、通路幅850mmを確保。
―収まって良かったです!こういった誤差は他の物件でもあるのですか?
プランナー
既存を活かすプランの場合は、どの物件でも数㎝の誤差は起こり得ますね。
そんな時でも、プランナーや現場責任者がこれまでの経験から得てきたノウハウを活かし、その時の最善を尽くして施工方法を導き出します。私たちは、自分の中にいろいろな対処法を持っていて、その引き出しが多ければ多いほど、イレギュラーへの対応力が高くなるんです。これからも知識を吸収して、引き出しを増やしていきたいですね。