こだわりの空間づくりについて、プランナーの大野にインタビューをしました。
ーたくさんの物件を担当されてきた中で、今回の物件を一言で言うと?
大野
「チャレンジ物件」ですかね(笑)キッチンの位置を動かしたい!けれど、築50年を超えているお部屋なのでスムーズにいくかどうか、挑戦したって感じです。 この年代に建築された物件をプランニングする際は、注意することがいくつかあるんですよ。
ー詳しく知りたいです!
大野
リノベーションを前提として設計されていないため、 間仕切りの壁が、簡単に壊せないコンクリートやブロックで出来ていることがあります。 また、配管類がコンクリートの中に埋まっていて、ルートを変更できない、なんていうことも。
解体してみないとわからない箇所があるので、最初の段階では、立てたプランで進められるかの確証を持てなかったんです。
ープランの詳細を教えてください
大野
ダイニングキッチンに隣接している洋室の壁を取り払って、システムキッチンの位置を元の洋室側に移動したいと考えていました。
それまでの間取りは、システムキッチンが玄関とダイニングルームを結ぶ通路にあったため、出入りする際は調理している人の後ろを通らなくてはいけなかったんです。また、ダイニングルームは、3面に扉があるので家具の配置が厳しかったと思われます。
使いづらい間取りを改善したリノベーションプランが右側。洋室の壁を取り払い、LDKを広くした上でキッチンを対面式に。
大野
ただ、このプランを実現するには、先ほどお話しした壁の問題や、それまでになかった部分に排水や換気のためのダクトを通すことになります。
解体してみないと判断が難しいところではありましたが、解体してから「出来なかった」とならないように、事前に他社さんの物件を調べたり、もらえるところからは情報を収集しました。そして、参考にしながらいろいろな可能性やルートを考えて、無駄のないギリギリのところで決めたんです。
ーとても試行錯誤されたんですね。想定どおりにいきましたか!?
大野
ほぼ(笑)。間仕切り壁だと思っていた所が躯体壁だったりと、やはり予想外の制限はいくつかありましたが、大幅な変更には至らずに済みました。 現場から連絡が来て確認に行ったり、時には自ら現地に足を運んだり。連携を取りながら進めて最終形になった感じです。
ーその他にも“この物件ならでは”があったのでは?
大野
浴室と洗面室でしょうか。
浴室は、在来工法のお風呂だったところを、ユニットバスに変更したいと考えていました。同じマンションで、すでに変更済みのお部屋があるのを聞いていたので「いける!」と思っていたのですが、ユニットバスのすぐ横にキッチンのダクトを想定していたのが気がかりでした。うまく収まるかの兼ね合いが結構シビアだったんです。でも、現場の方がかなりがんばってくれて、なんとか収まりました。収まらなかったらサイズダウンも有り得たので現場の皆さんに感謝です。
ー一方の洗面室は?
大野
それまで室内になかった洗濯機置き場を設けたんです。
以前は、空間が凸凹して窮屈だったのですが、システムキッチンを移動させたことで広くできました。そして、トイレへの出入りを廊下側にして、洗濯機置き場を確保したんです。
ー収納もあって、以前に比べたら使い勝手がよさそうですね。
大野
この収納ですが、ちょっと工夫したポイントなんですよ。
ちょうど洗面室とリビングの収納の上をキッチンの排気用ダクトが通っているんです。そのままにしたら低めの位置に梁ができるため、その下は使いづらいスペースになるところを、収納として活用することに。うまく収まったなって感じです(笑)
青の部分が排気用ダクトが通っている梁。その下を有効活用した洗面室の収納とリビング収納。
ー最後に、振り返ってみた感想を教えてください
大野
壁式構造だったり、梁が低かったりと制限が多かった分、だいぶやりがいのあるお部屋でした。 最終的に「お客様に喜んでいただければ!」という想いでやり遂げましたね。
今回のような築年が経過している物件を、今の暮らしに合うようにリノベーションして再生させることが 私たちの仕事です。さまざまな物件に対応するためにも、これからも勉強を続けて、経験を積み重ねていこうと思っています。