暮らしの中でできる 「わが家の防災」のすすめ

この夏は、地震や記録的な大雨の被害など、自然災害の脅威を感じるニュースが続きました。「もし自分の身近に起きたらどうしよう…」と、不安に感じた方も多いのではないでしょうか。
来る9月1日は「防災の日」。
防災の日は、1923年9月1日に発生した関東大震災にちなみ、防災意識の向上による被害の軽減を目的に制定されました。
家庭でできる防災対策には、非常持ち出し袋の準備、飲料水や食料の備蓄、家具・家電の転倒防止、家族間の安否確認方法や避難場所・避難経路の確認などが挙げられます。
この機会に、身の回りの点検を行って、避けられない「もしも」のために今できることを考えてみませんか?
「非常持ち出し袋」中身を見直したのはいつ?
「非常持ち出し袋(防災リュック)」は、災害時に自宅から避難する際に持ち出す、最低限の備えを入れた「命をつなぐバッグ」。すでにご用意している方も多いのでは?
でも、準備して“そのまま”になっていませんか?“持ち上げて重量感を感じるだけでも「長時間持てる?」「子どもや高齢者でも背負える?」など実用性に気づきます。
また、中身は季節(夏用衣類 → 秋冬用へ)や、家族構成(乳幼児用ミルクや薬など)に合わせて、定期的に入れ替えや見直しが必要です。
「何をどの程度備えたらよいか不安」な方のために、首相官邸ホームページに掲載している「備えておきたい物」のリストの一部をご紹介します。中身の点検をする際の参考にお役立てください。
◆災害の「備え」チェックリスト
口水
口食品(ご飯(アルファ米など)、レトルト食品、ピスケット、チョコ、乾パンなど ※最低3日分)
口防災用ヘルメット・防災ずきん
口衣類・下着
口レインウェア
口紐なしのズック靴
口懐中電灯(※手動充電式が便利)
口携帯ラジオ(※手動充電式が便利)
口予備電池・携帯充電器
ロマッチ・ろうそく
口救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
口使い捨てカイロ
口ブランケット
口軍手 口洗面用具
口歯ブラシ・歯磨き粉 口タオル
口ペン・ノート 口マスク
口手指消毒用アルコール
口石けん・ハンドソープ
ロウェットティッシュ
口体温計
口貴重品(通帳、現金、パスポート、運転免許証、病院の診察券、マイナンバーカードなど)
※首相官邸ホームページより
非常食・飲料水 備蓄の目安は「1週間分」
災害直後、都市部ではライフラインの復旧に数日~1週間ほどかかるといわれています。そのため、非常食や飲料水は「家族人数×1週間分」の備蓄があると安心です。
ストック方法の基本はやはり「ローリングストック」。
食料を少し多めに買っておく→賞味期限の近いものから消費→消費した分を補充することで、一定の備蓄を維持する方法です。
ポイントは普段から食べ慣れたものをストックしておくこと。日頃、慣れ親しんだ食べ物は安心感があり、非常時のストレス軽減に役立ちます。
水は、飲料・調理用と合わせて1人あたり1日3リットルの備蓄が目安になります。3リットル×7日分となると1人分でも21リットル、2リットルペットボトル約11本分のボリュームに。
家族が多いほど収納場所の確保が難しいので、1か所にまとめることにこだわらず、各収納のちょっとしたデッドスペースを活用した“分散収納”で非常時に備えましょう。
家具・家電の転倒防止で守る、家族の命
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震では、多くの方が倒れてきた家具の下敷きになり、命を落としたり大けがを負いました。大地震が起きたとき、「家具は倒れるもの」と考えて、事前に対策をとることが大切です。
背の高い収納棚・冷蔵庫などは、可能であれば、転倒防止金具や専用のつっぱり棒で固定しておきましょう。固定することが難しい家具や家電などは、耐震マットを使うだけでも揺れに対する耐性を高められます。
また、寝室や子ども部屋には、できるだけ大きな家具を置かないことが望ましいです。やむを得ず置く場合は、背の低い家具を選び、万一倒れても出入口をふさがないよう、向きや配置を工夫しましょう。
小さな備えの積み重ねが、大切な家族を守ることにつながります。防災の日をきっかけに、お住まいの家具の配置を見直すことをおすすめします。
避難ルートと“もしも”の連絡方法を話し合おう
災害時、家族全員が同じ場所にいるとは限りません。家族が別々の場所にいてもスムーズに安否確認ができるよう、事前に集合場所と連絡手段を決めておきましょう。
集合場所はどこにするかを決めるだけでなく、自宅や最寄り駅からのルートを家族で確認し、地図やスマホで共有しておくことで、非常時の混乱の中でも道に迷いにくく、速やかに集合できます。
近所で土砂崩れや水害の可能性がある場合は、迂回ルートや高台の避難先の検討もお忘れなく!
連絡手段の確認では、携帯電話がつながりにくい状況を想定し、災害伝言板や災害用伝言ダイヤル(171)の利用方法を調べておきましょう。
また、公衆電話は災害時でもつながりやすい手段ですが、NTTモバイル研究所の調査では「10~20代の約3割が公衆電話の使い方を知らない」と回答したそうです。お子様のいらっしゃるご家庭では、設置場所だけでなく使い方も合わせて確認しておきたいですね。
知っておきたい 災害時の情報収集
災害時には、迅速かつ正確な情報収集が求められます。事前に、正確な情報を提供している可能性の高い公的機関のサイトをスマートフォンにブックマークしておくことをおすすめします。
また、いざというときにインターネットが使えないことを想定し、ネット以外に情報を入手する方法を確認しておくと良いでしょう。
◆ブックマークにおすすめ 公的機関のサイト
◇首相官邸(災害・危機管理情報)
https://www.kantei.go.jp/jp/joho/index.html
◇Tenki.jp地震情報
https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/
◇国土交通省 防災情報提供センター
https://www.mlit.go.jp/saigai/bosaijoho/i-index.html
◇気象庁のホームページ
https://www.jma.go.jp/jma/index.html
◇NHK災害情報
https://www3.nhk.or.jp/news/saigai.html
災害は、いつ、どこで、どのように起こるか予測ができません。だからこそ、日頃のちょっとした「備え」が、いざというときに自分や大切な人の命を守る大きな力になります。
防災の日、そして防災週間は、備えを“思い出す日”ではなく、“動き出す日”にするのが理想です。まずは備えを見直してみることから始めてみませんか?
参照元
首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/joho/index.html
農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html
NTTモバイル研究所「10・20代の約3割は公衆電話の利用方法を知らない」
https://www.moba-ken.jp/project/disaster/disaster20250116.html
トヨクモ 防災タイムズ
https://bosai-times.anpikakunin.com/information-gathering/